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「最高ですか〜!」の「法の華三法行」は今も活動中…逮捕の教祖は公の場から姿消す

「最高ですか〜!」

「最高で〜す!」

 長身で白髪の教祖と信者たちのこんなかけ合いがワイドショーで繰り返し報道された宗教団体を覚えているだろうか。2000年に教祖・福永法源が詐欺容疑で逮捕された「法の華三法行」だ。その後、福永は懲役12年の実刑が確定した。

 法の華三法行は福永が「天の声(天声)が聞こえた」として設立した団体で、1987年に静岡県で宗教法人の認証を受けた。以後、信者の足の裏を見て病気などの悩みを言い当てる“足裏診断”を行い、福永自身は「天行力」という特別なエネルギーを他人に授けることができると称した。病気などをかかえる人にそのための研修(修行)や献金を勧め、1000万円もの献金をした信者もいるといわれる。
96年、信者290人が法の華に対して12億8000万円の損害賠償を求めて静岡地裁に提訴。その後、全国で民事訴訟が起こされた。99年に警視庁と神奈川県警が教団施設を詐欺容疑で家宅捜索し、00年にかけて福永や幹部らが同容疑で逮捕された。
当時の新聞報道によると、約3万人から1000億円近いカネを集めていたという。歴史に残る巨額詐欺事件だ。ただ、立件されたのは被害者31人、約1億5000万円分だった。

 宗教団体が詐欺罪に問われるケースはそれほど多くない。詐欺罪は相手をだまして金銭を取る犯罪だ。教祖や幹部が「だましていない。自分たちも信仰している」と言い張ってしまうと、詐欺を立証しにくい。

 ところが法の華の場合、民事訴訟の過程で、信者や相談者を脅してだますための教団内のマニュアルの存在が発覚した。
〈足裏を見てまず第一声を吐いて相手をびっくりさせる。『あなたこのままだとガンに成るよ!』『汚い足裏ですね!』〉

 こんな調子で足裏診断の結果と関係なく、脅し方を指示する内容だ。ハナから相手をだます意図があったことは明らかだった。

 法の華は01年に破産宣告を受けて宗教法人を解散したが、福永の服役中も「よろこび家族の和」「天華の救済」の名称で別団体を継続。14年3月に刑期を終えて出所した福永は、翌15年に再び信者たちの前に立った。
「復活祭」と銘打ったそのイベントに筆者は潜入取材した。数百人の信者たちと福永が「最高ですか〜!」「最高で〜す!」の掛け合いを繰り返した後、福永はこう言い放った。

「いまでも絶対に罪は認めません。天は『弾圧は絶対に許さない』と。どこまでも筋を通せば勝ちですよ! おどおどしていたら負けですよ!」

 全く反省していなかった。

 福永はこの復活祭を開催した15年に自身の半生を描いた映画「塀の中の神様」の制作を発表。そのPRでメディアの取材などを受ける場面もあったが、以降は公の場に姿を現していない。存命なら77歳だ。
 それでも団体は活動を続けている。現在の団体名は「第3救済 慈喜徳会」。公式サイトで福永の過去の法話音声などを配信し、昨年末には都内で「第3救済 天空超天行力天授大祭2021」という大仰なタイトルのイベントを開催している。