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欧米のウクライナ支援が第三次世界大戦を招くのか 歴史的会談の立役者・元駐ソ大使がバイデン政権に和平への道のりを提案
(前略)
では、停戦の可能性はもう残されていないのか。
参考になるのが、冷戦時代にレーガンとゴルバチョフの歴史的な会談を成立させたジャック・マトロック元駐ソ大使の主張である。
マトロック氏は1985年のジュネーブサミットで、両リーダーが腹を割って話す機会を設け、信頼醸成を実現させた功績がある。退任後もNATOの東方拡大問題に慎重論を唱え、同盟拡大論がソ連を挑発すると訴えたジョージ・ケナンの路線を継承する人物である。
そのマトロック氏は、米シンクタンク・クインシー・インスティトゥートのサイト「責任ある国家運営」に10月、"Why the US must press for a ceasefire in Ukraine" (「アメリカがウクライナで停戦を迫らなければならない理由」)と題するコラムを寄稿し、以下の諸点を述べている。
・ウクライナ4州のロシアへの編入や、ウクライナによるクリミア橋の攻撃など、ウクライナ戦争は、危険な方向に向かっている。
・ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)の支援を受けても、1991年以降に受け継いだ全ての国境内に安定した国家をつくることはできない。もしウクライナがアメリカやNATOからの支援を得て力ずくで取り返そうとしたら、(プーチン大統領のみならず)ロシアは報復としてウクライナを解体する可能性が非常に高くなる。
・こうなる必要はなかった。クリントン大統領以降、アメリカの歴代大統領はNATOを拡大させ、冷戦を終わらせた軍備管理条約を破棄し、ロシアを排除した軍事同盟に旧ソ連邦を参加させた。
・ウクライナがミンスク合意を順守し、ドンバスをウクライナ国内の自治体として認め、NATOへの加盟はしないと確約していれば、恐らく戦争は防げたであろう。
・ウクライナとロシアの問題はウクライナの独立を承認することではなく、ソ連解体時に得た全領土の支配権を回復するというウクライナの目標をアメリカが支持すべきかどうかにある。その目標を追求することで、ウクライナの破壊が進行するなら、それは明らかにウクライナの利益にならない。
・理性的な指導者であるならば、核兵器による大虐殺の脅威を招くようなリスクを冒さないだろう。だが今日、国内政治においても国際政治においても、この理性を当てにすることはできない。
・それが招く結果は、この冬に試される。自国通貨のドル安が進み景気後退から、アメリカの対露制裁は西ヨーロッパを支配するための利己的な試みだと考えられるようになる。
・また中国とロシアとの協力関係を深めさせ、ドル以外の通貨で行われる国際貿易を拡大させる。
・紛争の当事者たちは、人類の未来は国境線の引き方ではなく、国家がその相違を平和的に解決することを学ぶかどうかによって決まるということを忘れてしまった。
・戦闘を止める唯一の現実的な方法は、停戦に合意することであろう。ウクライナへの主要な武器供給国として、アメリカはウクライナに停戦に同意するよう奨励すべきである。
・交渉は非公開でなければ成功せず、そのためには米露外交の復活が必要である。現在外交官僚は骨抜きにされているが、交渉しようという意志があれば、道は開ける。しかし、今のところ、その意志が欠けているように見える。
・戦闘が止まり、真剣な交渉が始まるまで、世界はわれわれ全員が敗者となる結末に向かっている。
https://the-liberty.com/article/20224/