ドイツ生まれのユダヤ人、社会学者・精神分析学者E・フロムが亡命地アメリカで書いた代表作。1941年刊。ナチズム台頭の因を社会、経済的側面からだけではなく社会心理学的側面から分析する必要を論じて注目された。人間やある社会階層が政治、経済的危機状況に置かれたときにおこる「権威主義的性格」をマゾ・サド的側面から解明。ファシズム運動を、一方ではヒトラーの権威に従いその犠牲になることに喜びを感じ、他方では自分より劣った者たとえばユダヤ人を蔑視(べっし)・虐待し、欲求不満や劣等感を解消しようとした心理や行動の現れとして描いている。個性の喪失と画一化が進行している現代社会に対しても示唆に富む。
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