阪神大震災においての女性超過死亡と隠された性被害の実態
尾辻かな子 2023年1月16日

避難所等での性被害について、約10年被害実態が知られなかった
正井礼子さんが3年前に反差別国際運動(IMDAR)に、「災害と女性の人権」 ~阪神淡路大震災から25年を経て を寄稿した。

「捏造されたもの」にされた性被害
1995年7月に神戸で近畿弁護士会主催による「被災地における人権」という集会があった。
分厚い配布資料には「高齢者の人権、子どもの人権、障害者の人権、外国人の人権」とあったが女性の人権は項目になく、
たった一行「女性が性被害にあったという噂があったが、兵庫県警は『1件もない。デマである。』と否定した」と書かれてあった。

支援活動を通してDVや性暴力被害を聞いていたので、翌年3月に女性団体が集まり「神戸・沖縄 女たちの思いをつないで~私たちは性暴力を許さない!」という集会を行った。
落合恵子さんの「あなたが悪いんじゃない」という基調講演と、被災地報告、強姦救援センター沖縄からの報告に240人の女性たちが参加。

閉会後は「性暴力を許さない!」「夜道を安心して歩きたい!」「女のNOはNO!」などのプラカードを持ってデモを行った。

ところがある雑誌から「被災地レイプ伝説の作られ方」というタイトルで「被災地の性暴力はすべて捏造されたものである」という記事がでた。
私は実名でひどく叩かれた。
「性暴力を許さない」と言うことが、なぜこれほどのバッシングを受けるのか、と信じられない思いだった。
しかも女性のライターによるその記事は雑誌ジャーナリズム賞を受け、彼女の他のルポとまとめて単行本になった。
深く傷ついた私は、DV被害女性の支援活動に専念し、その後10年間、災害や性暴力については沈黙した。

被災地では毎年のように防災フォーラムが開かれたが、多くの場合男性の研究者がずらりと壇上に並び、
活断層の話やライフラインの話に終始し、女性たちが災害時に経験した困難については誰も語らなかった。
https://note.com/otsujikanako/n/n331b477959af