観光業界に激震? 旅先で「レンタカー運転したくない」若者6割強、バス観光に頼れない離島の今後はどうなるのか

18~25歳の6割超「旅先で運転したくない」

 免許を持っていないから、旅行できない――。コロナ禍から回復基調にある国内観光だが、新たな問題が浮上している。
この問題を明らかにしたのは、沖縄県と沖縄観光コンベンションビューローが発表した、
18~25歳のZ世代1000人を対象にした「沖縄旅行における移動手段に関する意識調査」である。

 この調査で、沖縄県は今後3年以内に行きたい場所として2位になっている。その一方、沖縄への観光客の多い首都圏・阪神圏のZ世代の62.9%が、
「旅先でレンタカーを運転したくない」
と感じており、うち44.4%は自動車の免許すら保有していないことも明らかになった。

 2018年の統計によると、沖縄本島を訪れる観光客の約6割はレンタカーを利用している。
そこでは、繁忙期の空港でレンタカーを借りるまでに2時間近く待たされることも解決すべき問題として挙げられていた。
ところが、レンタカー台数の拡充だけで問題が解決しないことを今回の結果は明らかにした。

「若者のクルマ離れ」の原因

 本来なら将来有望な顧客となるはずのZ世代だが、旅行の意欲は年長者に比べて減少している。

 観光庁の調査によると、1996(平成8)年の20代の出国者数は462万人だったが、2014年には269万人(42%減)となっている。
20代では国内旅行の年間宿泊数も減少傾向で、当時、さまざまな対策が必要と警鐘を鳴らされていた。

 また、身分証明代わりとしても便利とされていた運転免許も、若い世代の保有者数は減少している。
2001年、10代、20代の運転免許保有者数は1742万7185人だったが、2021年には1087万5494人(38%減)となった。

「若者のクルマ離れ」と呼ばれるこの現象の背景には、生活スタイルの劇的な変化がある。
都市部に居住している限り、公共交通機関は整備されているため、わざわざクルマを運転する必要はない。
また、大半の生活必需品は大手通販サイトでそろうので、地方のようにクルマで買い出しに行く必要もない。

 さらにマイナンバーカードの登場で、身分証明書代わりとしての運転免許証の価値も低下している。
2023年1月時点で、マイナンバーカードの申請枚数は8300万枚、普及率は66%となっており、運転免許証保有者数の8190万枚を超えているのだ。

人気の島の現状

 冒頭に書いた「旅先でレンタカーを運転したくない」「そもそも運転免許を持っていない」若者の増加は、今後の離島観光の大きなネックとなるだろう。

 離島と一口にいってもその規模はさまざまだが、観光地として人気のある離島は大抵、レンタカーや原付が観光に必須である。
阪急交通社が2022年、全国20代以上の男女561人を対象に行った「一生に一度は行ってみたい離島はありますか?」というアンケートでは、次の離島がランキング上位に挙げられている。

・1位:屋久島(鹿児島県)
・2位:小笠原諸島(東京都)
・3位:宮古島(沖縄県)
・4位:佐渡島(新潟県)、石垣島(沖縄県)
・6位:沖縄(沖縄県)
・7位:奄美大島(鹿児島県)
・8位:礼文島(北海道)
・9位:種子島(鹿児島県)
・10位:軍艦島(長崎県)

 このランキングを見る限り、レンタカーなしで十分に観光ができるのは軍艦島くらいだ。
2位の小笠原諸島に属する父島・母島は道幅が狭く運転が困難であるため、レンタルバイクが観光客に人気だが、どちらにしても運転免許が必要である。

 面積の大きな離島では、主にバスが公共交通機関として利用されているが、観光には合いにくい。
ベネッセアートサイトで知られる香川県の直島は、町営バスが1時間に2~3本走っているので不便はしないが、これはあくまで例外である。
(中略)
 運転免許を持たない若者の増加は、観光客の減少を招く可能性が十分にある。自治体はそのことを視野に入れ、今後集客を行わなければならない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0c144a892ea70566056a359555efa63833dc23b9