少年時代に同意なく睾丸摘出、国を提訴した男性の思い「一矢報いらんと」(京都新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/84a4b70435d2ef2aef840c7072e56f6cb79c88bf

旧優生保護法下で不妊手術を強いられたとして、障害者らが国に損害賠償を求めた全国10地裁・支部の訴訟のうち、熊本訴訟が23日、判決を迎える。原告の渡辺数美さん(78)は身体に障害があり、少年時代に同意なく睾丸(こうがん)摘出手術を受けた。渡辺さんに実名で提訴した思いと、大津地裁で京都新聞社が滋賀県を相手に係争中の旧優生保護法を巡る情報公開訴訟で争点になっている「被害者のプライバシー」について聞いた。

■俺の人生、返してもらいたか

昨年6月13日、熊本地裁での口頭弁論で、渡辺さんは本人尋問に立った。何の手術か知らずに、10歳前後で優生手術を受けさせられた。思春期になった中学生の時、友人とトイレに行って手術の意味を知った。「恥ずかしい話ですが、友だちは毛が生えているのに俺のは小学生のままでびっくりされて」。母は、医師から「体が不自由で病気のこぎゃん子どもがまた生まれたら困る」と言われ、優生手術を受けさせたと明かした。「何でそんなことした」。それからの渡辺さんは荒れ、母に反抗した。

20代の頃交際していた女性とは生殖機能がないことが原因で別れた。ホルモンバランスが崩れ、女性のように胸が膨らみ、プールなどで何度も屈辱を味わった。法廷では、渡辺さんの熊本弁が響いた。「70年近く苦労してきた。俺の人生、返してもらいたか」

(後略