ric********さん

2021/3/3 16:51
何か勘違いしているんじゃないでしょうか。。。。

MMTってのは、景気回復だの経済成長だのそれ自体には意味がない、という主張を含んだ議論ですよ????

実際、L.R.Wray は、「仮にMMTに基づいた政策がうまくいくとしても(それは景気回復を意味しているわけではないけれど)、そんなものがうまくいくのはせいぜい10年程度で、それ以降は、長期的な崩壊期間を過ごすことになる。しかしそれでMMTが無意味なのか、というと、そうではない。マネーマネージャー資本制の崩壊過程が、金融資本制の崩壊過程よりはるかに社会的な悪影響の程度を低くすることができたように、MMTに基づく政策をベースとした体制の崩壊過程は、管理資本制の崩壊過程よりはるかに社会的な悪影響を小さくすることができるだろう、、、」としています。

そもそもMMTって、2007年にサブプライムローンバブル崩壊が始まるまでは、「パーティーが始まるとパンチボールを下げろと主張する」と揶揄されていたんです。ちょっと景気が回復の兆しを見せ始めると、すぐバブルが破綻するだのなんだのと騒ぎ立てる、ということです。実際、90年代のゴルディロックス景気に沸いていた時代、MMTはこのままではバブルが崩壊する、と主張していました。ヨーロッパ統一通貨が成立してヨーロッパが好景気に沸いた時も、このままでは破綻は避けられない、と批判し続けてました。サブプライムローンバブルが始まった2000年代初頭には、すでにレイはSFCの開発者であるゴドリーと共同論文で、崩壊の必然性とその時期や規模を予想しています。景気をよくするなんてこと、一言も言っていないですよ。

もちろん、「政府が支出していれば、もっと経済成長しているだろう」ということを言うことはあります。しかしそれは結果としての経済成長であって、経済成長すれば、世の中がましになる、なんてことではないんです。おととし発売されたMacroeconomics の教科書も、最後は1990年代以降の状況として、経済成長が、人口の90パーセントに相当する人々の所得悪化を伴っていたことを説明しています。「上げ潮」なんてことは、60年代までの、労組が強力で政府も「家父長的」立場をとっていた時代と言った例外的状況の下でのみ生じたことであり、決して普通に生じることではない、ということです。

だからMMTが言っているのは、ある社会問題があったとき、その問題に対する解決方があり、その解決法を実行するだけの実物資源があるときに、「カネがない」という理由でそれが放置されるのはおかしい、ということです。失業者がいるなら、直接政府が金を出して雇用すればいい。失業を救済するための公共投資など、愚の骨頂です。なぜなら、公共投資をしたところで、それを受注した企業は、まず自分たちの利潤を確保し、マクロ経済的理由で失業する可能性の最も低い中核的雇用層の所得を確保し、そして余った資金で新規雇用をするだけだからです。なぜ失業者対策のため、まず巨大企業の利潤を保証しなければならないのでしょうか。

MMTでは財政支出拡大による景気刺激策の問題点を列挙しています。そもそもなぜ景気が悪化するのか、と言えば、企業部門の投資が不安定だからです。企業は好況期には冒険的な投資を行うでしょう。本来マクロ経済的には、誰かの収入は誰かの支出ですから、企業経済において民間取引内部からは持続的な利潤は発生しません。現代の発生主義会計原理により、費用の発生時期と収益の発生時期が異なるため、あるいは負債と金融資産の価値に乖離が生じるため、あたかも民間の内部取引で利潤や純貯蓄が形成されるように見えますが、こうしたものは持続可能ではありません。それにもかかわらず企業部門が過剰投資をして、それが明らかになり投資と需要が急激に悪化したときに政府が財政支出により需要を下支えすることは、企業が引き締めに転じて下層労働者層を回顧しているときに、政府が過剰な投資決定や借入を決定したバブルに責任のある人たちを救済することに他なりません。これは企業のモラルハザードを助長し、次の過剰投資を準備し、労務者と経営者の資産所得格差を拡大し、そして環境破壊を推し進めるものです。

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