https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07621
これに対して、今回の東京大学らの技術は、H2の生産が不要で、かつ常温常圧でNH3を生産できる可能性がある点で、ハーバーボッシュ法の改良技術とは一線を画する。

 この技術の開発を以前から進めている東京大学 大学院 工学系研究科 応用化学専攻 教授の西林仁昭(よしあき)氏(図2)は、「中国の仙人が霞(かすみ)を食べるように、N2とH2O、そして太陽光でNH3を生産し、家の屋根で燃料を生産できるようにするのが目標」とする(図1(b))。

これが実用化できれば、H2の生産システムや運搬、そして保管が不要になる。湿度の高い地域であれば、H2Oでさえも空気から得られるため、外部からの材料調達なしに文字通り“かすみ”からNH3などを生産できるようになる。

 今後、ハーバーボッシュ法の改良技術で必要な温度や圧力がさらに大幅に低減できたとしても、H2を生産したり運んだりするコストが不要になる点は、まねができない。これが、今回の技術の大きな長所になりそうだ。