https://news.yahoo.co.jp/articles/9608ad9addcf1c9d06161b6c91295bf957b4466a

え?中学生のセックスがOKってこと!?法務省はなぜ一律16歳にしない?

「いやあ、この内容で性的同意年齢16歳に引き上げって言ってほしくないです」

そう憤るのは弁護士の上谷さくらさん。
法務省では、現在、性犯罪に関する刑法改正「性的同意年齢」について詰めの議論が行われ試案が示されたのですが、大事なその“年齢”部分がはっきりしないのです。

そこで、長年、性被害者の支援や弁護をしている上谷さくらさんに「性的同意年齢は16歳に引き上げになるのか」「性教育と性的同意年齢」について、2回にわたって話を聞きます。

「性的同意年齢13歳以上」ってご存じですか?
セックスするかしないかの判断ができるのは“13歳になったその日から”という今の法律なのですが、なんとこれ、明治時代にできた116年も前のもの。

116年前と言えば一般家庭には電気もない、車もない、ご飯は火を起こして釜で炊いていたという、完全に歴史の教科書の中の世界。時は流れ、今やスマホで世界中と繋がる時代になったというのに、この法律のこの部分はずっとずっとずーっと変わらずそのままでした。

それが、実態に合うようにしてほしいという声の高まりを受け、ようやく改正されようとしています。

そして、去年の10月24日。 法務省は「性的同意年齢を16歳に引き上げ」との試案を公表しました。

3年前から取材をしている私は早速HPで公開されているその試案を読んでみました…。が、はっきり言って分かりにくい!

と思っていたら、先日1月17日、法務省は修正し、新しい試案を公表しました。

10月の試案と1月の“新”試案での違いは以下の通りです。新試案では、『』部分が削除されました。

第1ー2 刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢の引上げ
(試案より)

1、13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の拘禁刑に処するものとし、13歳以上16歳未満の者に対し、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、『当該13歳以上16歳未満の者の対処能力(性的な行為に関して自律的に判断して対処することができる能力をいう。2において同じ。)が不十分であることに乗じて』わいせつな行為をしたときも、同様とするものとすること

2、13歳未満の者に対し、性交等をした者は、5年以上の有期拘禁刑に処するものとし、13歳以上16歳未満の者に対し、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、『当該13歳以上16歳未満の者の対処能力が不十分であることに乗じて』性交等をしたときも、同様とするものとすること

新試案では分かりにくかった部分が削除される形にはなりましたが、この条文で何がどう変わることになるのでしょうか?
「性的同意年齢」は何歳になったの?
島田「試案発表から2カ月で条文が修正されました。なぜでしょうか?」

上谷弁護士「あまりにも世間の評判が悪かったからだと思います。当初の発表時、法務省はこの性的同意年齢の条文についてはずいぶん自信があったようなので、反発は意外だったのではないでしょうか。修正前に書かれていた『対処能力』って、何を基準として、どう判断するのか全く分かりませんでしたから。ですから、その部分を削除したこと自体は良かったです」

島田 「結局、試案では『性的同意年齢』は何歳になったんですか?」

上谷弁護士「一応は16歳と書いてありますが、条件が付けられていて…。これでは16歳と言ってはいけないと思います。その条件というのが5歳差以上ある人が13歳以上16歳未満の子どもと性行為に及んだら罰せられるという部分です」

島田 「『相手が5歳差以上』ということは、例えば13歳の子どもだったら18歳以上の人に対して罰則が適用される、ということですか?14歳なら19歳以上というように」

上谷弁護士「そういうことですね、たぶん…」

島田 「逆に言うと、13歳でも“5歳以内の年齢差なら性行為をしてよい”みたいにも取れてしまいますね」

上谷弁護士「本当に、13歳とかを検討する余地を残す意味がわかりません。なんで一律16歳にしないのでしょうね。どうしても“13歳から性行為をしてよい”としたいのかしらとまで勘ぐってしまいます。

それに、若年者が保護されるべきところを、“変な抜け道ができる”と思います。加害者の『5歳以上離れているとは思わなかった』という弁解が通ってしまうと、通常の強制性交等罪や強制わいせつ罪と同じ要件を満たさないと立件できません。