──SNSの未来をどう見ていますか。

私は、すごく非社交的なギークとして育ちました。自分が本当に受け入れられたと感じたことはなく、とても内気でした。なので、SNSは私には向いていません。フェイスブックは勢いがあったときに使っていましたが、もうずいぶん前にアカウントを無効化しました。何年も放置していて、ある日ログインしたら5000人も見知らぬ“友達”がいたのです。

それでも動物の動画などを見るのは好きだったので、使い続けました。でも3ヵ月ほどで気づいたのです。暇さえあればログインして、スクロールして、スクロールして、スクロールしている自分に。そうなると、それはもう習慣です。そして思ったのです。習慣は「中毒」だと。本当は必要のないものの中毒になど、なりたくありません。そんなものなくても幸せでいられます。なので、やめました。

理由はもう一つあります。あなたの投稿に私が「いいね」をする。それは私からあなたへのメッセージなのは、わかっています。でも実際には「あなた」ではなく、100の広告主に宛てたメッセージなのです。頭のなかでピンときました。これは「誠実なものではない」と。

フェイスブックのユーザーである私は、自分の小さな動き、クリック、言葉、「いいね」の一つひとつが追跡されることで、もっとフェイスブックを使うよう仕向けられている事実を意識していません。そのようなものとして売られたわけではないからです。けれどそれは、誠実ではありません。でも私にとって誠実さは、この世で最も大事なことなのです。

というわけで妻と私はアカウントを無効化し、追跡されないようにアプリもデバイスから削除しました。グーグルも、できるだけ使わないようにしています。