マイクを必死で握る両手は、小刻みに震えていた。勇気を振り絞って話をしているのがわかった。
「私たちはいま、生きるか死ぬかの瀬戸際にいると思っています。今の時代は、個人情報を簡単に渡せるので、突然いろんな人がやってきて、連れ出されて殺されるってことも想像しています」
「それは私だけじゃなくて、在日の人みんなが少しは考えていることです」
「そんな時代に、マスコミの人たち、日本人の人にお願いがあります。私は殺されても構いません。
でも、私より若い世代、未成年、これから生まれてくる子どもがこの国で安全に生きていけるようにしてください」

「日本人の人みんなに言いたいこと」。そう切り出すと、彼女は次のように願った。
「お友だちとか家族とかで『韓国って危ないよね』『謝罪、謝罪言い過ぎだよね』と言われた時に、『そうだよね』と流すことがあると思うんです」

「私も今まで、『中国人って声が大きいよね』と言われた時、『まあまあ』と適当に流した時がありました。でも、そういうのをやめませんか」

「『韓国人ってなんとかだよね』と言われた時、あなたがそう思わないんだったら『私はそう思わない』って言ってください。それで友だちと喧嘩になっても、別によくないですか」

「社会が崩壊しようとしている時に、そんな友だちいりますか?私たちの社会は急には変わらないけれど、ちゃんとそうやって一人一人が言うことで、半径5メートルは変えていくことはできる。いきなり人が変わったり、マスコミが明日から嫌韓報道をやめたりしません」

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