アメリカ軍隊での性的暴行については、広く認識されてはいるが、あまり理解はされていない。議員やアメリカ国防総省のリーダーは、被害にあった数千人の女性軍人に目を向けがちだ。しかし、実はそれよりも多くの男性が、長年被害を受けてきた。

同省の統計によると、アメリカの軍隊では平均で毎年約1万人の男性が性的暴行を受けている。その被害者は圧倒的に若く、軍隊での階級が低い人たちだ。その後、被害者の多くはひどく苦しみ、軍から追い出され、民間人としての生活でなかなか足場を築けない。

軍隊での男性の性的暴行の結果、何十年ものあいだ生じてきたのは沈黙だった。あまりにも屈辱的で、犯罪を訴えられない被害者の沈黙。犯罪を追及する能力がない軍当局の沈黙。問題が存在するとは考えない指揮官の沈黙。あまりにも恥ずかしく感じて、抗議できない家族の沈黙――。

https://toyokeizai.net/articles/-/322142?display=b