断念・頓挫…行き詰まる原発輸出政策 トルコは「失望」

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アルゼンチンのブエノスアイレス。主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するために訪れた安倍晋三首相は1日午前、トルコのエルドアン大統領と向きあった。

会談時間は約40分。日本政府関係者によると、会談で両首脳は、シノップ地区の原発計画について話し合い、実現が難しくなっているとの認識を共有した。

トルコ建国100周年にあたる23年の稼働をめざした計画に暗雲が垂れこめたのは、今年に入ってからだ。事業化に向けた調査を進めた三菱重工が、事業費が想定の2倍超となる4兆円以上にふくらむとの試算をはじき出した。

「失望した」。水面下で伝えられたトルコ側は怒りを隠さず、3月に予定していた調査報告書の受け取りを拒否し、試算の練り直しを促した。しかし三菱重工は「損してまで受けられない」(幹部)として試算を大きく変えず、7月に最終報告書として提出した。「民間企業として、事業性がある形での参画という範囲内を逸脱できない」(宮永社長)という。