「ああいう凍傷は見たことがない」…エベレストで指9本を失った栗城史多さんに登山家たちが冷たかった理由
https://news.yahoo.co.jp/articles/4197b9da97aeb6854901e49d977697feb33eeb7e

■「あんな凍傷は見たことがない」

先輩の森下亮太郎さんは、栗城さんが凍傷になった後、頃合いを見計らってメールを送っている。
「ご心配かけてすみません」と返信があったそうだ。

「凍傷だと聞いてさすがに心配になりましたけど、一方では『何やってるんだ? 』と
腹立たしい思いもありました。冬山のトレーニングをしっかり積んでおけば、
凍傷になりかかったらすぐに気づくはずなんです。『指の体温が戻りづらい。おかしいな』って。
その感覚が養われていないのは、準備不足と自己管理ができていない証拠です。
今の時代、凍傷は登山家の勲章にはなりません」

ある疑念を、森下さんは抱いたという。

その疑念は多くの登山家に共通していた。佐藤信二さんは言う。

「1本2本ならわかるけど、彼の場合、凍傷の境目が何本もの指にわたって
きれいに一直線になってる。ああいう凍傷はちょっと見たことがないですね」

エベレスト4回目の遠征メンバーは、森下さんが副隊長を務めたころと大きく変わってはいない。
森下さんは今も交流が続く隊員の一人からある情報を得ていた。

「登頂を諦めて『下りる』って言ってから、4時間も無線連絡が途絶えた、
呼んでも返事がなかった、って……。何してたんだ?  って思いました。
それで最初は、栗城が自分で手袋を外して、雪の中に指を突っ込んだんじゃないかって……
凍傷になるために、わざと……ここまでひどくなるとは想像せずに……」

その後、22時間も外にいたと知って多少は自作自演の疑念を拭ったが、
そんな長時間行動すること自体、高所登山のセオリーを無視している。