臓器あっせんのNPO、「日本政府公認」名乗る…ベラルーシ側に患者受け入れ打診

 NPO法人「難病患者支援の会」(東京)による無許可の臓器あっせん事件で、NPOが昨年10月、「日本政府公認の団体」と名乗り、ベラルーシ側に患者の受け入れを打診していたことが捜査関係者への取材でわかった。実際には臓器移植法に基づく国のあっせん許可を得ておらず、警視庁はベラルーシ側の信用を得ようとしたとみている。

 NPOは昨年、ベラルーシに日本人患者3人を案内。このうち同2月に肝臓移植を受けた40歳代男性のケースについて、警視庁が今月7日、NPO理事長の菊池 仁達ひろみち 容疑者(62)を臓器移植法違反(無許可あっせん)容疑で逮捕した。

 捜査関係者によると、NPOが仲介したキルギスでの生体腎移植で臓器売買が行われた疑いが昨年8月に報道された後、ベラルーシの病院側が患者の受け入れを中止。これを受け菊池容疑者は同10月、別の病院を探すためベラルーシの医療関連会社にメールを送り、新たに患者の受け入れを打診していた。

 メールでは、NPOについて「日本政府公認の日本国内最大の団体」とし、10月に腎臓移植を希望する患者が5人、11月に肝臓と腎臓の移植を希望する患者が2人いると説明。毎年10~15人の移植希望の患者がいるとも記載していた。医療関連会社側は応じなかったとみられる。

 ベラルーシの移植では、患者3人のうち肝臓移植を受けた40歳代男性を含む2人が術後に容体を悪化させ、その後、死亡している。3人がNPOに支払った移植費用は計約1億3000万円だった。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230211-OYT1T50171/