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ローマ教皇、同性愛禁止する法律を非難 英国国教会の指導者らも教皇を支持

キリスト教カトリック教会の教皇フランシスコは5日、同性愛を犯罪とする法律を非難する声明を発表した。

アフリカを訪問中の教皇はこの日、南スーダンで記者団に対し、こうした法律は宗教・道徳上の罪で、「不正義」だと述べた。

また、「同性愛の傾向」がある人も神の子であり、教会に歓迎されるべきだと付け加えた。

教皇の声明は、プロテスタントのイギリス国教会のカンタベリー大主教や、同スコットランド国教会会議の議長も支持している。
ジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教とイアン・グリーンシールズ・スコットランド国教会会議議長は、教皇と共に戦争で分断されている南スーダンを訪れ、平和を呼びかけた。

3宗派の指導者が一緒にどこかを訪問するのは、500年ぶりだという。

南スーダンの首都ジュバからローマへ向かう教皇専用機の中で、ウェルビー大主教は「教皇があちらで話した内容に一言一句、全面的に同意している」とする一方、イギリス国教会でも同性愛者の権利に関する内部分裂があると述べた。

イギリス国教会は1月、同性カップルが教会で結婚式を挙げるのを拒否するかもしれないとの見解を示していた。

グリーンシールズ議長も教皇の声明を支持するとした上で、聖書を引用し、「四つの福音書で、イエスは出会うあらゆる人に愛情のみを示すばかりで、それ以外の表現は見当たらない。それが、どのような状況の人間に対しても、キリスト教徒として与えられる唯一の表現だ」と語った。
教皇フランシスコは記者会見で、カトリック教会は秘跡の儀式としての宗教的な結婚を、同性カップルに認めることはできないとする自身の見解を繰り返した。

しかし、いわゆる「シビル・ユニオン」(シビル・パートナーシップ、市民婚姻)を認める法律は支持していると述べ、同性愛を禁止する法律は「無視できない問題だ」と語った。

世界で50カ国が「何らかの方法で」性的少数者(LGBT)を犯罪者と見なしており、そのうち約10カ国が死罪を設定しているとの見解を、教皇は示した。

性的少数者の国際協会「ILGA」によると、国連に加盟する66カ国が同性愛関係を違法行為と定めている。

「これは正しいことではない。同性愛傾向を持つ人々は神の子供たちだ」と教皇は述べた。

「神は彼らを愛し、彼らと共にある(中略)こうした人々を非難するのは罪だ」

現在のカトリック教会の教義では、同性愛は「逸脱した行為」とされている。教皇フランシスコは以前、教会内での同性愛行為という「深刻な問題」を「懸念している」と話していた。

しかし教会の保守派は、教皇が性道徳についてあいまいなメッセージを発していると非難している。

就任直後の2013年、教皇は同性愛行為は罪だとするカトリック教会の立場を再確認したが、同性愛者であることは罪ではないと付け加えていた。

5年後のアイルランド訪問時には、信者は子供が性的少数者だからといってそれを理由に絶縁することは許されず、愛する家族の中にとどめなくてはならないと強調した。