荷物の輸送が困難になる「2024年問題」を始め、前述のデータからも物流はギリギリのところで維持されている。いうなれば小口配送の多くが

「届いて当たり前」

なのは、もはや奇跡的なのだ。

 しかし、この問題に対する一般消費者の関心は極めて薄い。SNSなど個人の発信手段が普及したことで、まれに起こる遅延や破損などが、あたかも未曾有(みぞう)の一大事であるかのように騒がれることも多い。

 過去にはホールケーキを宅配便で送ったら、グチャグチャになったとSNSで発信した個人が話題になった事例もある。これは特異な例だとしても消費者の多くは、宅配便が

・時間通りに届いて当たり前
・問題なく届いて当たり前

だと考えており、その当たり前が危機的状況にあることには関心を寄せない。

 筆者(昼間たかし、ルポライター)も、宅配ドライバーが繁忙期の朝8時過ぎに荷物を持ってきた経験がある。また最近、インターフォンなしで荷物が置かれていることもしばしばだ。こうしたことからも、宅配ドライバーが過酷な労働を強いられていることは誰もが肌感覚でわかっているはずだ。それでも、自宅に配達してくる彼らの荷物の置き方には文句をいっても、

「彼らの待遇」

には気を欠けることはないのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e737bc8c483505d50a6895e1097e022cf7cd48b5?page=2