アマゾンは従来の宅配便に代わって、配達を請け負う運送会社と個人が業務委託契約を結んで配達する形態を増やしている。アマゾンでは人工知能(AI)を導入し、個々人が配達する荷物の数とルートを示すシステムを導入し効率化を図っているとしてる。しかし、実際には多い日で200個を超える荷物を割り振られ、長時間労働が常態化している。

 さらに、配達員は業務委託契約であり労働基準法の対象外として扱われている。労働中にけがをしても補償はない。実体はアマゾンが雇用しているのと同等なのだが、同社は雇用関係がないとして労働組合との団交も拒否している。

 他方、宅配便各社では低賃金労働や労働者に不利な雇用関係を強いていては、事業が継続できないとみているのか、コストを価格に反映させる動きを始めている。ヤマト運輸では4月から宅急便や宅急便コンパクトなどの運賃を約10%引き上げることを決めた。関東から関東の場合、宅急便80サイズは1150円から1230円となる。

 運輸業界では輸送の効率化によるコスト削減を実施している。将来的にはドローンを使った輸送なども研究されてはいるが、実用化はまだ先になるだろう。それに、小口配送においては、いかに自動化を進めようとも人の手がなくては配達完了は困難だ。そのもっとの大切な「人」が軽視されている現実を、一般消費者は荷物が届くたびに考えるべきだ。

 もう一度言う。彼らは血の通った人であって、冷徹な機械ではない。