ウクライナ東部ドネツク州の重要拠点バフムト周辺では、ロシア側の包囲が一段と進行。
西側諸国の主力戦車が今春、ウクライナ軍に配備されるまでが正念場とみられ、激しい攻防が続きそうだ。

 ロシアが当初、「最低ライン」として目指したドネツク州の完全制圧は進んでいない。
今月24日の侵攻開始1年を控え、プーチン大統領は21日に年次教書演説を予定しており、戦果を急いでいるもようだ。

 「ロシア軍は始めたと言わないだけで、既に大攻勢に出ている」。
ウクライナのダニロフ国家安全保障・国防会議書記は11日、地元テレビにこう述べた上で「われわれは撃退している」と説明。
朝鮮半島分断のようなシナリオを念頭に、プーチン政権で「二つ目のウクライナをつくる計画が進行中だ」と警戒を促した。

 実際、戦闘は激しさを増している。英国防省は12日、過去2週間のロシア軍の戦死者数が、昨年2月以来の多さになったと指摘。
1日平均で昨年6~7月は約170人だったが、1月は701人、今月は824人に増えたというウクライナ側のデータを紹介した。
原因としてロシア側の「訓練不足」などを挙げており、投入された予備役や元受刑者も死傷したとみられる。

 独立系メディアによると、ロシア各地で招集された予備役らは最近、窮状を動画で告発。
後方支援という予想に反し、親ロシア派武装勢力の配下に置かれ、突撃を命じられたと訴えた。

 こうした中、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のエブゲニー・プリゴジン氏は12日、
バフムトの北約6キロの町クラスナヤゴラを「制圧した」と主張した。
事実なら、ウクライナ軍は補給・退避ルートの一つを絶たれ、苦戦を強いられている可能性がある。
米シンクタンクの戦争研究所も、クラスナヤゴラはロシア側の支配下にあると分析した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/01161e72b36ab96dfb85cb7610e307710da32b0f