伊勢志摩のリゾートマンションで鉄筋「爆裂」現象続々、1・5kgのコンクリ落下も

三重県志摩市のリゾートマンションで、建築時の施工不良が原因とみられる天井の剥落(はくらく)が相次ぎ、施工会社などとトラブルになっている。住民たちで作る管理組合は近く、津地裁に修理費用を求めて訴訟を起こす方針だ。

 トラブルが起きているのは、志摩市の観光スポット・大王崎の近くに立つ「ロイヤルヴァンベール志摩大王崎」。1997年に完成した鉄骨鉄筋コンクリート造りの14階建てで、120戸。準大手ゼネコンの住友建設(現・三井住友建設、東京都)が施工し、大手住宅メーカーの大和ハウス工業(大阪市)が分譲した。主に別荘として使われているが、定住している人もいる。

 管理組合によると、施工不良は分譲から4~5年後には明らかになった。

 鉄筋を覆うコンクリートの厚さが建築基準法施行令の規定より薄い「かぶり厚さ不足」が原因となり、鉄筋に水分が浸透。さびて膨張した鉄筋が、コンクリートを押して剥落させる「爆裂」と呼ばれる現象が廊下やベランダで相次いだ。

 両社は2009年に施工不良を認めて、住友が無償で修理。しかし、20年頃から再び剥落が起きるようになった。21年7月にはベランダで重さ約1・5キロのコンクリートの塊が落下。同組合の松浦潤也理事長(49)は、「幸いこれまでけが人は出ていないが、当たれば大けがをしかねない」と懸念する。

 組合の求めに応じ、住友側は無償修理の準備を進め、調査により数十か所の不具合を発見。しかし、昨年6月になって、突然現地事務所を残して撤収した。

 管理組合によると、住友側は、完成から20年以上が経過したため、「不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する除斥期間に当たる」として無償修理を拒否しているという。

 組合側は今後約20年間に計3回の修理工事が必要だとして、その費用約2億8000万円を求める損害賠償請求訴訟を近く津地裁に起こす方針だ。

 代理人の藤原航弁護士は、「マンションには50年程度住むことが考えられる。今回の剥落も施工不良が原因で、除斥には当たらない」と主張している。

 一方、三井住友建設は取材に対し、「詳細は差し控えるが、法律に基づいて対応している」と回答。大和ハウス工業は、「住友側と協議中のため、詳細は答えられない」としている。
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