原発運転延長で規制庁に首相の指示伝達 元原子力委員「圧力と同じ」
2023年2月19日 7時42分

 原発の運転期間延長をめぐり、西村明宏環境相は17日、岸田文雄首相から受けた「新たな安全規制の具体化」などの指示を原子力規制庁の片山啓長官に伝えました。規制庁は、原子力規制委員会の事務局。規制の独立性の観点から問題はないのでしょうか。2010年1月から14年3月まで内閣府原子力委員会の委員長代理を務めた鈴木達治郎・長崎大教授(原子力政策)に聞きました。

 ――規制委で運転延長に反対意見が出たことを受け、岸田首相は環境相と経済産業相に「新たな安全規制の具体化」と「的確な安全審査に向けた官民の体制整備」などを進めるように指示し、環境相はそれを規制庁に伝えました。政府は「伝達であり、規制委への指示ではない」と説明していますが、どう見ますか。

 「安全規制を決めるのは規制委です。環境相に指示すること自体が、早く新しい基準をつくるように規制委に圧力をかけたととらえられかねず、おかしいと思います」

 「官民連携の体制というのも、法改正とどう関係があるのか。まさに『ちょっと何言ってるか分からない』です」

 ――規制委は環境省の外局ですが、大臣の指揮や監督を受けない「3条委員会」です。

 「推進側は規制側にタッチしない、圧力をかけないというのが、福島事故の教訓です。だから、独立性を担保した規制委をつくった。環境相を通しているとはいえ、首相指示を規制庁に伝達すれば圧力と同じです」

 「岸田首相は政府の機関なのだから言うことを聞かないといけないと思っているのかもしれませんが、間違っています。独立性を脅かすような指示と思われても仕方がない。規制委から反対意見が出たことを国会で追及され、焦っているのかもしれません」

※略※

https://www.asahi.com/articles/ASR2K7V45R2KULBH01K.html