彼女が訪れたマッサージ店は、首都圏を中心に50店舗近い系列店を展開するマッサージチェーン店。フロアには施術用のベッドが並び、カーテンを隔てた隣では別の客がマッサージを受けているような、一般的な店だった。普通に考えれば、この環境でセクハラまがいのことが起きるとは想像しにくい。

「整体の60分コースを選んで、マッサージ用の衣服に着替えました。うつ伏せ状態からのスタートで『どこが凝ってますか？』と聞かれたので『肩とか足です』と答えました。ただ、その人が私の足を揉んでいるときに、やたらとお尻も揉んでくるなっていうのは、最初の段階から気になっていて……。

　たとえば、足の左右の長さを確認して、『右のほうがちょっと足が短いですね。お尻の歪みが……』とか、それっぽいこと言いながら揉んでくるんですよ。お尻を揉むときも、指で股間のキワを触ってきたり、さも“当たっちゃった”風を装って、親指を股間に当ててきたりとか……。

　腰をマッサージするときも、私は手を真っすぐ腰の横に置いた状態だったんですけど、手の指を絡めながら腰を揉んできたりしました」

　仰向けになってからも、男の“暴走”は止まらなかったという。

「デコルテあたりをマッサージしていくうちに、今度は、次第に胸を鷲掴みするような感じになっていって。『胸のあたりのリンパの詰まりが……』と、胸の中心をわしわし揉んでくる、みたいな。その時点で、さすがに私も『これはおかしいだろ？』と思っていたんですけど、怖いので、ちょっと硬直してしまったというか」

　胸の後は、腹部を通り越し、今度は恥骨をグイグイ押してきた。そこからは、股関節と恥骨の周囲だけを、ずっと触ってきたという。

「ツイートした『60分のうち30分は、胸と股間と尻オンリー』は、本当に誇張なく、そんな感じで。マッサージが終わってから、逃げるように帰りました。

『つぶやいてないで警察に通報しろよ』みたいなことも言われたんですけど、この日はひどく疲れていたし、証拠の提出とか、いろいろ考えたら、面倒だと思ってしまったんです。なぜ、その場で声をあげなかったのかに関しては、ちょっと恥ずかしい気持ちもあって……」

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