刑事事件を起こしても、学校は学生を処分すべきではない。そんな話、今回初めて聞きました。
それは一つの意見ですが、なぜ今回の千葉大学ばかり批判にさらされるのでしょうか。

千葉大の卒業保留処分は、一部の人が批判しているような、さかのぼっての処分でもありませんし、
卒業して学生ではなくなった人の学士や卒業取り消しでもありません。

■大きな事件が起こると
大きな事件が起こると、被害者とその直接の関係者以外にも、多くの人が傷つきます。

ある大きく報道された監禁事件の時、様々な人に会い、話を聞きました。被害者の友人たちもとてもショックを受けていました。
無事発見されたことは、もちろん嬉しいニュースなのですが、長期監禁という衝撃的な事実の前に震えていました。

監禁された家の前を毎日通っていた人。ただそれだけなのですが、あの部屋にずっと少女がいたという、そのいたたまれない思いに、苦しんでいました。

地元の人も苦しんでいました。大勢のマスコミが集まり、現代の薄くなった人間関係を嘆く報道がなされていました。
でも、この地域はとても良い地域なのだ、他の場所以上に、良いコミュニティーなのだと、私に話してくれました。

本当なら、この問題をもっと早く解決に導けていたかもしれない立場にいた公務員。世間がこの個人を責めたわけではありませんが、
厳しい声は巻き上がりました。この方も苦しんでいました。その後、その人は職を辞することになります。

今回の監禁事件でも、多くの人が傷ついているでしょう。被害者や身近な人はもちろん、
町にも、大学にも、傷ついている人がたくさんいるしょう。

ある事件で、加害者を出してしまった中学校関係者と話したこともあります。毎日毎日、嫌がらせの電話が鳴り止みません。
教職員は、その対応だけで疲れ果てます。地元での学校の評判は、地に落ちます。生徒たちは、
校外での大会などで、肩身の狭い思いをします。世界中のすべてが、学校の敵に回ってしまったような感覚です。
それでも、教職員たちは今通ってきている生徒たちを精一杯守っていました。

このような学校が傷つく「スクールトラウマ」の問題は、普通は中学や高校で起きますが、今回は大学で起きようとしています。

<がんばれ千葉大:監禁事件で傷ついた全ての人と共にスクールトラウマを癒す(「推定無罪」でも処分はあり)>

■千葉大学は、卒業保留の処分
千葉大学のホームページによりますと、朝霞市中一少女監禁事件で逮捕された男性に対して、
「一旦、卒業認定及び学位授与を取り消し、卒業を留保することを決定しました。」と処分が下されました
https://news.yahoo.co.jp/byline/usuimafumi/20160403-00056180