柴田さんは、少子化対策は「2025年頃までがタイムリミットだ」と強調します。そして、即時実行すべき対策には、少なくとも年間6.1兆円程度の追加予算が必要で、かつ、社会全体で働き方改革や雇用の安定などに取り組むことも大切だと提案しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f166098a5b1949378703fc08bfd693d89160dec4

なぜ2025年がリミットなのかというと、柴田さんは、内閣府の統計で、日本で生まれる子どもの数が減り続けた結果、2025年頃からは20代の人口が急激に少なくなるとわかっていることを挙げました。

つまり、結婚や出産する年代の人数がますます減る中、低い出生率のままだとさらに急激に人口減少が進むということです。2021年の出生率は1.3ですが、内閣府は、出生率が2030年に1.8に、2040年に2.07になると、人口は9000万人弱で維持でき、高齢化率(人口のうち高齢者が占める割合)も今に近い水準で維持できると「短期策」だけではなく、2040年に出生率を2.06にするためには、根本的な対策に「長期的」に取り組む必要があるとして、柴田さんは、働き方改革や賃金上昇などを訴えています。デジタル化や働き方の柔軟化・労働移動などによって、労働生産性があがって、雇用の安定、賃金上昇を実現する、その結果、年収は減らさずに、労働時間を週に約6時間減らし、平均労働時間を年間約278時間減らすと、出生率は0.52上がるというのが柴田さんの試算です。

柴田さんは、お金と時間にゆとりができ、それが将来も続くと思えてはじめて結婚や出産ができるのではないか、と分析しています。

まとめると、今の出生率1.3+即時策効果で0.45+長期策で0.52、それに価値観の多様化で出産が減るなど0.21低下を加味すると、2040年頃の出生率は2.06になると推計されるということです。という試算を2019年に出しています。
(中略)
まとめると、柴田さんの試算では、

「児童手当の多子加算」(追加予算2.5兆円:出生率0.24上昇)

「高等教育負担軽減」(追加予算1.5兆円:出生率0.08上昇)

「保育定員増と質確保」(追加予算2.1兆円:出生率0.13上昇)

を実施すると、追加予算6.1兆円で、出生率は合計で0.45上がるとされ、現在の1.30+0.45で、1.75になる可能性がある、としました。

このほか、充実が必要な政策としては、結婚支援(婚活支援、選択的夫婦別姓、同性婚合法化など)、私生活と仕事との両立支援(デジタル化、テレワーク、有給休暇など)、居住支援(住宅手当拡充、転勤を規制するなど)、出産支援(不妊治療助成など)を挙げましたが、これらの予算規模と出生率への効果は研究や分析がないと柴田さんは説明しています。