東北電、広報費25億円見積もり 他社と比べ突出、値上げ審査で批判
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電気料金の値上げ審査にあたって東北電力が「普及開発関係費(広報費)」を年約25億円と見積もったことが波紋を広げている。現行の3倍超で、同じく値上げ申請した北陸電力など4社と比べて突出しているためだ。経済産業省による審査会合では有識者から疑問の声が出ている。

 東北電は、円安や原燃料価格の高止まりで採算が悪化しているなどとして「規制料金」と呼ばれる家庭向けの電気料金を平均32・94%値上げするとしている。原価構造を示して審査を受ける必要があり、広報費も「厳に必要なもの」は原価に入れることが認められている。

 東北電は今回、この広報費が2023~25年度に毎年約25億円がかかると見積もり、原価に入れた。これは前回(13~15年度)の値上げ時に認められた現行の原価約7億円より約18億円多く、3・38倍にあたる。

 経産省のまとめによると、ほか4社の伸び率は北陸電8・7%、中国電力1・8%、四国電力162・5%、沖縄電力5・8%で、東北電が際立つ。

 15日の審査会合では、複数の委員から東北電に対して「値上げを周知するための費用(負担)に消費者が理解できるのか」「東北電は他の会社と比べてとても(広報費が)大きい。到底考えられない」「特に東北電のHPは消費者に丁寧な説明かというと一方的な値上げと受け取れるもの」など疑問を呈する意見が多く上がった。

 東北電は、電気料金の値上げや国が要請する節電・省エネの周知に必要だとする。樋口康二郎社長は22日の定例会見で「過大に見積もっているわけではない。前回は低く査定された経緯がある。お客様への需給逼迫(ひっぱく)、節電要請、電気料金の関係で普及開発費用は必要だという前提で原価を積み上げている」と説明。ただ、他電力より多い点は認識しているといい、「しっかり説明し、その上で(他電力と)横並びで査定されるのであれば致し方ない」とも語った。