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近年、日本の伝統的な飲み物である抹茶は、健康補助食品やスナック菓子などの香料として世界的に親しまれている。抹茶には、さまざまな有益作用が期待されているが、飲用する前後の精神状態の違いや効果の個人差に着目した研究は行われていない。

熊本大学大学院生命科学研究部准教授の倉内祐樹氏らは、社会集団から隔離した状態で飼育したマウスに抹茶を投与する実験を実施。抹茶は、うつ様行動(うつ様症状)が強いマウスでのみ抗うつ作用を発揮すること、脳内ドパミン神経回路の活性化を亢進して抗うつ作用を発揮することを明らかにしたとNutrients(2023; 15: 581)に発表した。 

うつ病の標準治療は、休養、精神療法、薬物療法である。しかし、抗うつ薬には副作用のリスクがあり、最近では治療抵抗性うつ(TRD)が社会問題となっている。こうした背景の下、薬剤よりも安全な代替品を探索すべく、さまざまな天然物や植物抽出物の潜在的な抗うつ特性についての研究が行われている。日本ではお茶が医薬品として扱われてきた歴史があり、抹茶にはリラックス効果が期待できるとされるものの科学的根拠は十分でない。

(むずかしい部分は省略。ソース読んで)

以上を踏まえ、倉内氏らは「強いうつ様症状が現れるC57BL/6J系統マウスに対する抹茶投与は、脳内ドパミン神経回路の活性亢進を介して抗うつ作用を発揮することが示唆された」と結論。

「うつ病発症の予防には、日常的なストレスに適切に対処するセルフケアの実践、心身の健康維持が重要だ。今回の知見が、日常生活における精神状態の違いやストレスに対する感受性の個人差を考慮し、抹茶を活用した健康増進プログラムの開発・実践につながることが期待される」と展望している。