出航の「撮影」を経て、船出した我々一行は元々かなり気楽であった。始めの話では、スワンは「曳航」してしまって、目的の島や港に近付いたら漕ぎ入れて、あたかも人力で来たかのように撮影を始め、そこここで起きるエピソードを素材化すれば良い、あとは遊んでばかりでラクチンラクチン、という予定だった。出航1時間を経過、見送りの島の衆の船も戻ったところを見計らい、リグして用意していた曳航索を繋ぎ、ウィンディが前進を掛けた瞬間、早速、曳航するとスワンのあちこちが数分も持たないことが判明した。特にスワンの推進装置は今にも解体しそうであった