兵器で劣るウクライナ軍パイロット、ソ連時代の旧式ヘリで対抗 「無いよりまし」

2/25(土) 19:00配信

セルヒー氏はCNNの取材に、樹木に接触した経験を打ち明けた。
5枚あるヘリの回転翼のうち3枚が損傷し、約6メートル下への不時着を余儀なくされた。
セルヒー氏が操る往年の名機Mi8はいずれもソ連崩壊前に製造されたもので、
機齢は30年を超える。機体の側面には排気やオイルの黒い筋が付着している。

危険な前線付近にいたセルヒー氏は、地上にとどまる訳にはいかなかった。
そこで、手短に機体を確認した後、回転翼が損傷した状態のまま離陸。
後方拠点まで飛び、技術者に別のヘリから取り外した羽3枚と交換してもらった。

ウクライナ軍は少ない装備品をやりくりしている状況だ。味方から供与された装備品よりも、
ロシア軍から鹵獲(ろかく)した装備品の方が多い。

ウクライナのゼレンスキー大統領は北大西洋条約機構(NATO)などに対し、
航空機の供与を要請してきたものの、反応は今のところ乏しい。

英国はウクライナのヘリ部隊を増強するため、軍を退役した古い「シーキング」を少数供与すると表明。
ポルトガルはロシア製の「Kа−32А11VS」6機を供与したが、この6機は安全に飛べる状態にすらなく、
同国国防相によると、ウクライナが自ら修理する必要があるという。

「他に何ができるというのか?」

ウクライナのパイロット、セルヒー氏にとって、こうした装備品は早く到着するに越したことはない。
旅団の作戦基地でCNNの取材に応じた同氏は「我々の保有機はソ連時代のものなので、
もちろん新型ヘリが必要になる。現在は保有機から限界を超えた能力を引き出している状態だ」と語った。

「アパッチなど、何らかの新型へリが手に入ればうれしい。
我々には意欲がある。ごく短時間で運用方法を習得できるだろう」(セルヒー氏)

ヘナディー氏は「手元にあるのは確かに古い航空機だが、何も無いよりましだ。我々に他に何ができるというのか?」と問いかける。

消耗戦となっている戦争で、ウクライナのパイロットたちは多くの友人を失った。
彼らの主な武器は間違いなく、ロシア軍に比べ高い士気だ。
ウクライナ兵たちは、あたかも自分たちの命がそれに懸かっているかのように、
西側の航空機を切望している。実際、その通りだろう。


https://news.yahoo.co.jp/articles/35e9ecefe82d924ae0b3bad5956daf361513c655?page=1