―野党は軒並み消費税減税を主張している。

 所得が増えないと将来不安に直面するという前提に立っており、全く新しい社会モデルになっていない。消費税減税は貧困層よりも富裕層にお金が返ることにもなる。大きな見当違いだろう。

 ―政府は防衛費増額の方針を決めた。

 防衛費を「GDP比2%」にするとの基準にはどのような合理的根拠があるのか、一体誰がどこで話し合ったのか。
これは今の政治に通底しており、民主主義の本質に関わる話だ。コロナ禍での特別定額給付金は仕方ないとしても、
いまだに「現金ばらまき」が続く。膨大な赤字国債を押しつけられる今の子どもや未来の子どもたちは意思決定に関わることさえできない。
民主主義が息絶えつつあるということではないか。

 社会にとって何が必要か。その財源をどのように皆で負担するのかを話し合う中で、極端を排してあるべき中庸の姿を探るのが政治の役割のはずだ。
今こそ「ばらまき」か民主主義かの戦いであり、与野党から財源論を直視する若手が出てこなければ日本の政治はこの先厳しいだろう。 


https://www.msn.com/ja-jp/news/politics/財源論-から逃げぬ政治を-井手英策-慶大教授インタビュー/ar-AA15KVYM