アルゼンチンでロシア人妊婦1万人が出産 「子供には自由な選択を」ウクライナ侵攻1年で移住急増
2/26(日) 12:02配信

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始から1年が過ぎた。欧米の経済制裁や、プーチン大統領による予備役招集などにより、一部のロシア人の間で「子供には外国人として生きてほしい」という動きが広がっている。ロシアの妊婦たちが出産の地を選んだのは、ロシアから1万4000キロ離れた南米・アルゼンチン。「ロシア人向け出産ツーリズム」が熱を帯びている状況を取材した。


息子には自由な選択をしてほしいと思った

水色と白の縞模様のサッカー・アルゼンチン代表のユニフォームに身を包み、生まれたばかりの息子と街を散歩する、ロシア人のセルゲイ・クズミノクさんと妻のタチアナさん。2人は祖国・ロシアを離れ、2022年9月末にアルゼンチンに到着した。

以前から反政府系メディアでジャーナリストとして活動していたセルゲイさんは、ウクライナ侵攻前から政府を批判し、当局に拘束され暴力を受けた経験もあると話す。このため2014年のロシアによるクリミア併合のころから移住を考えていた。その後結婚し、妻・タチアナさんの妊娠が発覚するころに、2022年2月24日の軍事侵攻を迎えた。

セルゲイ・クズミノクさん:
移住の決断において決定的だったのは、当然、戦争(2022年2月の軍事侵攻)です。お金もあまりないし、妻は妊娠中。移住は大きな一歩だったが、合法的なものでなくてはならないと思った。アルゼンチンでは滞在許可と労働許可がすぐに出ると聞いた。

妻・タチアナさんは12月に男の子を出産。2人ともスペイン語はほとんど話せず、通訳の力を借りて子育てをしている。アルゼンチンでは国籍は出生地主義のため、息子は自動的にアルゼンチン国籍となる。アルゼンチン国籍の子を持つ親も、居住権・市民権が取りやすいとされ、セルゲイさん家族もアルゼンチンで暮らすつもりだ。

セルゲイ・クズミノクさん:
私たちは市民権をとる予定です。私たちは息子に良い教育を受けさせたい。そして自由な選択をしてほしいと思った。

同じ飛行機に33人のロシア人妊婦 3カ月で5800人が入国

アルゼンチンの移民局は地元メディアの取材に対し、「2022年1年間で1万人のロシア人妊婦が入国している。うち5800人の妊婦が過去3か月に入国した」と明かした。2月に入ると、同じ便に33人以上の、妊娠後期のロシア人女性が搭乗していたこともあったといい、完全に「ロシア人出産ブーム」がアルゼンチンで起きている。

世界から非難される軍事侵攻や経済制裁により西側諸国との距離が広がるロシアでは、子供の将来が案じられるため「ロシア人として育ってほしくない」と願う親が増えたと言える。地元メディアには、産院の待合室には、ロシア語で書かれた注意書きも貼られている様子が掲載された。

※略※

https://news.yahoo.co.jp/articles/26e2d1a11b9042f1f6efdb0df4ceae22009722c8