
2023年の首都圏における私立・国立の中学受験者数は推定5万2600人で、過去最多を更新した。首都圏模試センターが調べた。同センターによると、受験者数は9年連続で増加しており、昨年より推定1500人増えた。【大沢瑞季】
◇中高一貫校のカリキュラムが魅力
中学受験が過熱している背景について、安田教育研究所の安田理(おさむ)代表に聞いた。安田さんは、連動したカリキュラムが組める中高一貫校は早期に教科書の内容を終わらせて、大学受験の演習をするところが多いため有利になる他、私立中学が力を入れるグローバル教育やSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育といった、次の時代を見据えた教育内容に魅力を感じている保護者が多いのではないかと指摘。「ここ1~2年は、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、私立中学のオンライン授業への対応ぶりを見て、私立受験を決めた人もいるでしょう」とも話す。
◇算数1科目での女子受験者が増加
中学受験者数が増加したことで、小学3年の2月から塾に通って上位校を目指す従来の受験スタイルだけでなく、さまざまなパターンが生まれていると言う。例えば、塾に通いながらも緩やかに勉強を続けて中堅校を目指す家庭や、スポーツや音楽などの習い事をやめずに小6まで続け、1科目入試や適性検査型のような新しいタイプの入試を受けるケースだ。
今年の特徴は、東京都や神奈川県の中学校で実施されている、算数1科目だけで受験できる「算数入試」で、女子の受験者が増えていることだとも強調する。安田さんは「大学入試でも、女子生徒の理系学部の志望者が増えていますが、中学入試でも女子の理系志向の傾向が少しずつ出てきています」と話す。以前は、算数入試は男子校だけで行われていたが、近年は女子校の方が算数入試を実施する学校数が多いと言う。
◇受験の過熱 いつまで?
来年以降も過熱ぶりは続くのだろうか。安田さんは、少子化に加え、物価高などによる厳しい家計状況、保護者が志向する子育ての多様化により、今後は受験者数が減る可能性もあると見ている。
「収入の高い家庭では、親のフォローがかなり必要な中学受験を避け、小学校受験へシフトする傾向も出てきています。また、社会のグローバル化に伴って、インターナショナルスクールへ進学し、海外の大学を目指す家庭も増えています。受験者数は、今年がピークとなる可能性もあります」
https://news.yahoo.co.jp/articles/7fe147bf3925b99d36bc5c969675605796c379b9