「妖精のランプ」は消えてなかった 命名した植物学者の思いが現実に


 絶滅したとされていた植物が、兵庫県内で生き残っていた。野外では約30年見つかっていなかった。再発見したのは「どこかでまた見つかって欲しい」、そんな思いを込めて名前をつけた研究者本人だった。

 2021年5月、神戸大の末次健司教授のもとに、野外調査に行っていたゼミの学生があるサンプルを持ち帰ってきた。三田市内の森林で土を掘っていたところ、たまたま発見したという。

 それを見た末次教授は驚いた。

 その3年ほど前、末次教授が新種として発表した植物に似ていたからだ。その植物は、コウベタヌキノショクダイ。

 1992年に標本が作製され、兵庫県内の博物館に保管されていたが、ずっと別の種だと思われていた。博物館で標本を見つけた末次教授は、未知の種であることに気づき、コウベタヌキノショクダイとして記載した。

 だが、コウベタヌキノショクダイは、国内には92年に作製されたその標本だけしか残っておらず、発見場所もすでに開発されてしまっていた。そのため2020年には、県のレッドリストで絶滅に分類された。
https://www.asahi.com/articles/ASR2W656KR2WPLBJ006.html
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