クジラの子供を引き連れ、お世話していたシャチのメス
アイスランド西部で「セディス」と名付けられたメスのシャチが、「ヒレナガゴンドウ(学名 Globicephala melas)」の赤ちゃんをつれている姿が目撃されたのは、2021年8月のことだ。
セディスはただ子クジラを引き連れていただけでなく、きちんと世話をしていることも確認されている。
周囲にはほかに2頭のシャチが目撃されているが、ゴンドウクジラはいなかった。ゴンドウクジラは普段群れで暮らしているために、子供だけがぽつんと引き離されているのは非常に珍しいことだという。
出産経験のないシャチがクジラで子育て願望を満たしている可能性
ムラスゾック氏らは、セディスにはまだ出産経験がなく、自分の子供の代わりとして子クジラを育てていると推測している。
そう考える理由の1つが、子クジラが痩せており、あまりエサを食べていないように見えたことだ。セディスに出産経験がなく母乳が出ないと考えれば、辻褄の合う話だ。
ちなみにシャチと子クジラの珍しい組み合わせが目撃されてから1年後、ゴンドウクジラの群れと一緒にいるセディスの姿が観察されたという。だが、このとき子クジラの姿は見当たらなかった。
そんなセディスの姿は、子供を誘拐するつもりでクジラの群れに近寄っている可能性をうかがわせるそうだ。
セディスはどうしても子供が欲しかったのだろう。シャチには強い母性本能がある。子供に恵まれないシャチのメスが、どうしても子が欲しくて誘拐という悪事に手を染めてしまったのかもしれない。
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