https://373news.com/_news/storyid/171034/
「駐留は1年、約束果たしてもらう」 米軍無人偵察機受け入れの鹿屋市長 ここまで3カ月は「友好的に進んでいる」
海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)で米軍無人偵察機MQ9の1年間の運用が始まり、21日で3カ月を迎えた。国の専管事項とされる安全保障問題に地方自治体はどう向き合うのか。鹿屋市の中西茂市長(69)に考え方を聞いた。
−3カ月たった率直な気持ちは。
「米兵による交通事故が運用開始直前に起きた。大変遺憾であり、地元の意思を示すため直接抗議もした。その後は大きな問題がなく非常にほっとしている。米軍側には緊張感を持った対応を求め続け、残り9カ月の安全安心を確保したい」
−駐留計画の浮上以来、最も緊張した場面は。
「受け入れを決断した時だった。重たい決断をしなければならないという緊張感があった。事件事故は少しのきっかけで起きる可能性があり、万が一への対処は念入りにシミュレーションしておくことが肝要だと認識している」
−鹿屋が日米同盟の矢面に立たされることになった。
「われわれは基地と共存する街の中で生活している。基地の役割や運用が変容することがないか、重大な関心を持って注視している」
−「米軍基地化はさせない」と言ってきた。
「基地化につながるような、米軍の基地使用の常態化を許すつもりはない。将来の情勢に対し予断を持って語ることは難しいが、地元の理解なしに基地の在り方が変わることはないと受け止めている」
−市長の役割とは。
「民意や議会の意思をどう集約していくかではないか。満点は難しくても、反対意見や懸念材料への解決策は国に具体的な提案をもらう。イデオロギーの対立にするのではなく、地域へのマイナスの影響をどういう形で最小化していくか考えることが大切だ」
−馬毛島では市長判断なく工事が進む実態もある。
「確かに国の考える『地元の理解と協力』の判断基準が分からない。市長表明が最後通告なのか、全体の雰囲気で決まるのか。国の専管事項という言葉は好きではないが、枠組み上は地方自治体には賛否を表明する立場も権限もない。そこに歯がゆさがないわけではない」
−なすすべがないのか。
「もちろん国の専管事項を理由に逃げるつもりは全くない。市民の平和で安全な暮らしが米軍の活動によって壊されるような事態は防がなければならない。これだけは一歩も譲れず、体を張ってでも国とやりとりする覚悟だ」
−米軍駐留の前後で安全保障への見方に変化はあるか。
「防衛費増額やロシアのウクライナ侵攻なども含め、そもそも現在の世界情勢は何が原因なのかと。平和や戦争についてもう一度しっかり考える気持ちが強くなった。恐らく私だけではないのではないか。鹿屋は太平洋戦争で特攻隊員が出撃した悲しい歴史がある。平和の尊さを後世に訴え続けることがこの街の責務でもある」
−新たな懸念材料は生まれていないのか。
「米軍側も市民との融和や交流を大切に思っているようだ。全て把握している訳ではないが、非常に友好的に進んでいると思う。行政主導ではなく、地元の人から交流を持ちかける動きもある」
−駐留終了後をどう考えているか。
「1年という約束を果たしてもらう。国と結んだ協定をしっかり順守してもらい、ないとは思っているがほごにされたり、守れなかったりした時は、抗議や要望をするという段階だと思っている」