東京都が、国境離島である沖ノ鳥島(小笠原村)と南鳥島(同)の様子をCG(コンピューターグラフィックス)や
実写映像などで紹介するVR(仮想現実)コンテンツ「東へ南へ 国境離島VR」の公開を始めた。
周辺海域には豊富な資源が存在するとされ、都は国益も絡む島の保全に向け、多くの人の関心を喚起したい考えだ。
小池百合子知事は「実際に島を訪れたような体験ができる。2つの島を知るきっかけにしてほしい」と話している。

■体感ツアー

VRコンテンツのトップページを開くと「日本最南端の島 沖ノ鳥島」「日本最東端の島 南鳥島」という2つのリンクが表示され、
視聴者を360度の景色が広がる「体感ツアー」へといざなう。音声をオンにすれば、打ち寄せる波の音や鳥の鳴き声も流れる。

都によると、北回帰線より南に位置する沖ノ鳥島の年平均の気温は26・8度、海水温は27・7度。
毎年多くの台風が通過する厳しい海域に存在しながらも、熱帯気候の「常夏」の島だ。

満潮時でも海面上に残る北小島と東小島があり、VRの沖ノ鳥島のページでは、護岸コンクリートで防護された両小島の上に
実際に立っているかのような気分を味わえる。サンゴ礁がつくる「礁池(しょうち)」のボタンをクリックすれば、
透明度の高い海中を泳ぐ魚をダイバーのように眺めることもできる。

南鳥島のページには「戦没者慰霊碑前」「日本最東端碑前」といった島内の紹介だけでなく、星が尾を引きながら流れる夜空を堪能できるコーナーもある。
「ホエールウォッチング」をクリックすると、遠くの波頭からクジラが顔を出し、大きな波を立てながら再び潜る様子が映し出される。

■保全に危機感

両島の基線を根拠とした排他的経済水域(EEZ)は、沖ノ鳥島が約42万平方キロ、南鳥島が約43万平方キロにも及び、
石油の代替エネルギーとして期待されるメタンハイドレートやマンガンなどの貴重な鉱物資源が存在するとされる。
それだけに資源争奪戦の舞台ともなりかねず、島の保全は重要課題の一つだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dd089d8acf6f9f1538ea2e79502983e7f3956751