Evidence of near-ambient superconductivity in a N-doped lutetium hydride

Nathan Dasenbrock-Gammon, Elliot Snider, Raymond McBride, Hiranya Pasan,
Dylan Durkee, Nugzari Khalvashi-Sutter, Sasanka Munasinghe, Sachith E. Dissanayake, Keith V. Lawler, Ashkan Salamat & Ranga P. Dias

要約

超伝導物質が示す電気抵抗のない状態は、常温常圧の条件下で存在すれば、
非常に大きな応用の可能性があります。数十年にわたる熱心な研究努力にもかかわらず、
そのような状態はまだ実現されていません1,2。

常圧では、銅酸化物は最高臨界超伝導転移温度(Tc)である約133Kまで超伝導を示す物質群です(参照3,4,5...)。

過去10年間、水素を主成分とする合金の高圧「化学的予備圧縮」6,7が高温超伝導の探索を主導し、
メガバール圧力で二元水素化物の水の凝固点に近いTcを実証しました8,9,10,11,12,13。
炭素質硫黄水素化物などの3元系水素化合物は、超伝導水素化物の特性を向上させる可能性のある、
さらに大きな化学空間を提供します14,15,16,17,18,19,20,21.

ここでは、10kbar(1万気圧)で294Kの最大Tcを持つ窒素ドープルテチウム水素化物について、
室温と常圧付近で超伝導を示す証拠を報告する。
この化合物は、高圧高温条件下で合成され、その後、完全に回収された後、
圧縮経路に沿って材料と超伝導特性が調べられました。
具体的には、磁場印加時および非印加時の温度依存性抵抗、磁化(M)-磁場(H)曲線、
交流および直流磁化率、熱容量測定などを行いました。

X線回折(XRD)、エネルギー分散型X線(EDX)、理論シミュレーションにより、
合成された材料の化学量論についてある程度の知見が得られました。
しかし、この材料の超伝導状態をさらに理解するためには、水素と窒素の正確な化学量論と
それぞれの原子的位置を決定するために、さらなる実験とシミュレーションが必要です。

https://www.nature.com/articles/s41586-023-05742-0#Sec8