ベーリング海の漁業が危ない、漁獲量急減の原因とは
先日、知人の米国人記者と環境問題について話をしていると、彼が大変興味深いことを口にした。
「アラスカの漁業が崩壊している。ベーリング海の変貌が激しい」
ベーリング海といえば、東のカムチャッカ半島と西のアラスカ半島、そして南のアリューシャン列島に囲まれた太平洋最北部の海である。
スケトウダラやズワイガニといった水産資源が豊富な「恵みの海」といわれる場所だ。
だがいま、オヒョウやカニ、サケの総数が激減しており、知人が述べるには「壊滅的である」という。いったい何が起きているのか。
少し調べると深刻な状況がみえてきた。
例えばオヒョウの生息数が劇的に減ったことで、漁師の生活がままならない状況になっていた。
アラスカ州南部のホーマー市は人口約5000人ほどの都市で、「世界のオヒョウの首都」といわれるほど、かつてはオヒョウの水揚げ量があった。
特に、1990代後半から2000年代前半にかけては、1人の漁師が1シーズンで25万ドル(約3400万円)も稼いでいたという。
だが近年は資源量が半分以下になると同時に、商業漁業関係者の割り当て量も減らされている。
ホーマー市で漁をする漁師の中には、割り当てが年間4万キロから9000キロに減らされたことで、オヒョウ漁から手を引いてしまった人もいる。
また、ズワイガニの生息数も減っている。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)の調査委員会の調査によると、2018年は117億匹だったものが、2022年には19億匹まで激減していることが分かった。
回復には今後6年から10年はかかると言われている。
ズワイガニの激減に伴い、アラスカ州漁業狩猟局(ADFG)は2022年から23年まで、ズワイガニ漁を完全に中止することを決めた。
また同州南西部ブリストル湾のタラバガニ漁に至ってはすでに2年連続で禁漁を決めている。
北太平洋漁業委員会(NPFC)のビル・トゥウェイト代表(ワシントン州)は「ズワイガニだけでなく、今後はより多くの種類の海産物が同じ問題に直面することになるはず」と予測する。
ベーリング海でいったい何が起きているのか。
すぐに思いつくのが乱獲と気候変動である。調べると、両方の原因が指摘されていた。
まず乱獲だが、ベーリング海では大規模なトロール漁が行われており、大船団が巨大な網を使って海底とその近くに生息する魚類を根こそぎ獲っていく現実がある。
いかそ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74283