政府批判めぐるリネカー氏の一時降板で番組編成混乱、BBC会長は視聴者に謝罪
https://www.bbc.com/japanese/64929936
サッカーの元イングランド代表主将、ギャリー・リネカー氏による政府批判ツイートが
BBCの不偏公平原則に抵触するとして、
BBCがサッカー解説番組からリネカー氏を一時降板させたのを受け、
多くのスポーツ関係者がリネカー氏に連帯して番組出演をボイコットしたため、
BBCの11日のスポーツ番組編成が混乱した。
BBC会長のティム・デイヴィー氏は同日、BBCのインタビューを受け、これについて視聴者に謝罪した。
ワシントン訪問中のデイヴィー会長は、BBCのノミア・イクバル北米特派員のインタビューを受け、
11日のスポーツ番組編成に混乱が生じたことを視聴者に謝罪した。
そのうえで、自分が辞任することは「絶対にない」としつつ、「BBCにとって厳しい」事態だと認めた。
デイヴィー会長は、リネカー氏が「政党政治の問題にかかわった」ため
「いったん退く」よう求められたのだと説明。
その上で、「自分にとって成功とはギャリーが番組に戻ることだ」と述べ、
リネカー氏のようなフリーランスの出演者に適用される公平中立のルールがどうあるべきか
検討する用意があると話した。
リネカー氏の政府批判ツイートをめぐりBBCが首相官邸や閣僚から圧力を受け、
屈したのではないかと複数の野党が批判する中、デイヴィー会長は
特定の政党に「ごまをする」ようなことは一切なかったと強調。政府からの圧力はないと言明した。
さらにBBCにとって「厳しい1日」だったと認めながら、
「事態解決に向けて懸命に努力している」と話した。
(中略)
BBCは10日、リネカー氏の「最近のSNSでの活動が、我々のガイドラインに違反している」と言明。
「彼のSNS利用について、明確な方針で合意が得られるまで」、同氏に一時的な降板を要請したと発表した。
これを受けて、リネカー氏が司会するサッカー・プレミアリーグのハイライト番組
「マッチ・オブ・ザ・デイ」にレギュラー出演する他のサッカー界の大物も次々と、
リネカー氏に連帯して番組欠席を表明。
11日夜放送の「マッチ・オブ・ザ・デイ」は、通常は80分番組のところが20分に短縮され、
アラン・シアラー元イングランド代表主将やイアン・ライト元イングランド代表など
番組レギュラーの解説者は不在だった。代理の出演者もなかった。
■ボイコットでサッカー番組の代わりに再放送
他のサッカー番組もスタッフや出演者のボイコットによる影響を受けた。
11日は土曜日とあって朝から晩までテレビやラジオでサッカー番組が相次ぎ放送されたはずが、
BBCは過去の番組の再放送やラジオではポッドキャストを放送することで、
編成の空白を埋める羽目になった。
サッカー番組「フットボール・フォーカス」は正午放送の予定だったが、
司会者のアレックス・スコット氏が放送開始30分前に
「今日の番組をそのままやるのは、適切ではないと思う」とツイート。
この日の番組は放送中止となった。
サッカー番組「ファイナル・スコア」も、司会のジェイソン・モハマド氏が
BBCにこの日の出演を拒否すると伝えたことから、午後4時の放送が中止となった。
BBCラジオ5ライブで毎週土曜朝に放送される「ファイティング・トーク」は、
スタッフのボイコットを受けて放送が中止になった。
司会者コリン・マリー氏は、「自分とチーム全員」による判断だと説明した。
(中略)
■政界などの反応は
リシ・スーナク英首相は11日夜に声明で、リネカー氏を「有能な司会者」と呼びつつ、
政府が関与することではないとの姿勢を示した。
(中略)
スーナク首相はさらに、「ギャリー・リネカーは素晴らしいサッカー選手だったし、
才能ある司会者だ。ギャリー・リネカーとBBCの現在状況が速やかに解消することを望んでいるが、
これは当然ながら政府ではなく、BBCが取り組むことだ」とも述べた。
英文化・メディア・スポーツ省の報道官は「個別の案件はBBCが扱うべきこと」だとしている。
しかし、首相官邸や複数の有力閣僚はこのところ、声高にリネカー氏を批判していた。