>>1つづき

「政府がテレビ局を監督する」という歪んだ仕組み

 放送法をめぐる与野党の議論はほかの先進国からすると、完全に周回遅れの話なのだ。野党は「総務省がテレビ局を監督する奇怪さ」を真っ先に問題視すべきなのである。新聞報道もそうだ。

 ただし、その声を上げにくい事情が新聞と民放にはある。海外先進国には独立放送規制機関がある一方で、新聞とテレビ局が同一資本で結びつくクロスオーナーシップを禁止または制限している。朝日新聞とテレビ朝日、読売新聞と日本テレビのような関係はあり得ないのだ。

 独立放送規制機関はテレビ局への政治の介入を許さぬだけでなく、ほかの報道機関がテレビ局に影響力をおよぼすことも認めない。テレビ局の独立性が損なわれるからである。独立放送規制機関が生まれたら、現状のクロスオーナーシップ制度は許されない。