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イラン・サウジ合意に舞台提供 「対話の勝利」誇った中国

イランとサウジアラビアが、7年に及ぶ断交を解消し、外交関係を正常化させることで合意した。米国の「中東離れ」が指摘されるなか、合意を橋渡しした中国の目的は、どこにあるのか。
 仲介役として舞台を提供した中国では、国内の重要政治イベントの全国人民代表大会(全人代)が北京の人民大会堂で開会中だ。10日も朝から全体会議が開かれ、今回の合意を仲介した王毅(ワンイー)・共産党政治局員も出席していた。中国外交筋によると、王氏はここ数日間、交渉の場となった釣魚台国賓館と人民大会堂の6キロの道のりを頻繁に行き来していたという。

 今回、3カ国が連名で発表した共同声明には「サウジとイランの友好を支持する習近平(シーチンピン)国家主席の積極的な提案に両国が応じた」とわざわざ記され、中国の役割が強調された。合意後、王氏は中国メディアに「重要な成果が得られた。対話の勝利、平和の勝利だ」と勝ち誇った。

 中国は以前からイランと良好な関係にある一方、最大の原油調達先であるサウジとの関係も重視してきた。「両国の協調が中国にも利益をもたらす、との分析は数年前から習氏のもとへ届いていた」(中国外交筋)という。

 具体的に動いたのは昨年だ。習氏が年末にサウジを訪問し「包括的戦略パートナーシップ協定」を締結。共同声明で、イランの核計画を平和利用にとどめるための協力に合意し、サウジの懸念に配慮した。さらに今年2月にはイランのライシ大統領を国賓として中国に招き、安全保障や経済で協力を強化する方針を確認した。

 もちろん、中国のねらいは地域平和にとどまらない。中東でのプレゼンス(存在感)を誇ってきた米国の影響力を弱め、世界を米国の覇権から多極化へ導く外交戦略でもある。