https://www.asahi.com/articles/ASR375D24R35OXIE001.html

摩擦呼んでも異論を「見える化」したい 同性愛公表の尾辻かな子さん

 元衆院議員の尾辻かな子さん(48)は大阪府議だったときにレズビアンであることをカミングアウトした。同性婚の法制化をめざしつつ、ジェンダーの観点からの問題提起を続けてきた。「社会の評価が定まっていないことを可視化するのが私の役割かもしれない」と話す。
――今年2月に首相秘書官が同性愛者について差別的な発言をしたことで更迭されました。どう受け止めましたか。

同質性の高い空間は日本社会の縮図
 いちいち傷ついていたら身が持たない。心にふたをしている部分がありますが、それでもふと涙が浮かぶようなつらさ、悔しさはありました。

 より深いダメージを受けたのは、性的マイノリティーとしての自分を受容する過程にある段階の若い人たちです。希死念慮にとらわれるなど、メンタルヘルスが悪化したといった声をいくつも聞きました。

 秘書官は「同性婚を認めたら国を捨てる人が出る」と言ったそうですが、実際は日本に居場所がなく、他国に渡る人、あるいは命まで絶っている当事者たちがいます。あまりにも現実をわかっていない発言だと思いました。

 性的マイノリティー差別の文脈で問題になりましたが、政治の世界における多様性の欠如の問題でもあります。首相秘書官8人のうち7人は官僚出身の男性、残るは首相の息子です。多様性のない、同質性の高い空間は、差別に鈍感な日本社会の縮図です。

女性と同性愛者、ダブルマイノリティーとして
 朝日新聞の2月の世論調査では同性婚を「認めるべきだ」との回答はとうとう72%に上りました。社会は変わっているのに、制度と政治だけが変わっていないのです。

 ――尾辻さんはジェンダーの観点からの発信も目立ちます。