徴用工の訴訟をめぐる問題で韓国政府が発表した「解決策」について、3人の原告が13日、財団が日本企業に命じられた賠償分を肩代わりする方法での弁済には応じられないとの意思を財団側に伝えた。

原告代理人によると、今後の法的な紛争に備えて3人の意思を示す内容証明も送ったという。

2018年秋の韓国大法院(最高裁)判決は、15人の元徴用工について雇用主だった日本企業の賠償責任を認めた。日本側は、賠償問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、韓国政府は6日に傘下の財団が寄付金を使って賠償分を原告に支給する「解決策」を発表した。

日本政府は植民地支配への「反省とおわび」を盛り込んだ歴代内閣の歴史認識の継承を表明。徴用工問題などで悪化していた日韓関係の改善のため、16日に韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が初来日し、岸田文雄首相と会談する予定になっている。

こうした動きに対して被告企業による直接の賠償を求めてきた原告の李春植さん(99)、梁錦徳さん(92)、金性珠さん(93)の代理人や支援団体が財団に「解決策」を通じた支給は受けないとの3人の意思を伝えた。代理人らは原告が反対の意思を示せば韓国の民法上は、財団が肩代わりする「第三者弁済」はできないと主張している。

一方で韓国政府は、民法上は原告が支給金を受け取らなくても裁判所に賠償分の金額を供託すれば、原告が賠償を請求する権利は消滅すると解釈している。原告のうち12人は亡くなっており、その遺族の多くが、財団による弁済に応じる意向を示したとしている。(ソウル=鈴木拓也)

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