エミン・ユルマズ
急激に進んだ円安が転換点を迎えています。
今まで円安をもたらしていた理由がなくなるため、場合によっては数カ月のうちに、1ドル=120円割れまでの急激な円高もあり得るでしょう。

投機的な円安・ドル高の結末はいつも同じで、急激な円高への巻き戻しです。
1998年に1ドル=147円台まで進んでいた円安は、米ヘッジファンドのLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)が破綻すると数カ月で108円台まで円高に。
リーマン・ショック前の年に1ドル=124円台まで進んでいた円安は、サブプライム問題の表面化後に反転し、1ドル=75円に迫る超円高につながりました。
米国では株と不動産の両方でバブル崩壊が起きつつあります。
インフレ退治のための利上げは、米国景気をハードランディング(硬着陸)させるでしょう。
今後数カ月のうちに、米国のリスク資産が一斉に売られる局面が来る可能性があり、キャリートレードの巻き戻しに伴う急激な円高も必然です。

日本の投資家からすれば、当面は米ドル建て資産全てが危険な状況と言えます。
逆に、リスクオフで円が買われる局面では、日本の内需株が海外の投資家に評価される可能性もあります。
日本はインフレの起きにくい構造もあり、世界経済の中で非常に特殊な存在なのです。