ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの完結編として2021年に公開され、大ヒットを記録した『シン・エヴァンゲリオン劇場版』には、思わず考察したくなるようなシーンやキャラクターがたくさん描かれています。特に「新劇場版」シリーズから登場している真希波・マリ・イラストリアスは、「なぜ追加されたのか」と疑問を集めていました。

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 彼女に関する考察のなかでも特に話題となったのが、「マリのモデルは庵野監督の妻である漫画家・安野モヨコ先生なのでは?」という説です。しかしこの説は庵野監督自らの言葉で否定されています。2023年3月8日に、「シン・エヴァンゲリオン劇場版 EVANGELION:3.0+1.11 THRICE UPON A TIME」4K Ultra HD BD/BD/DVDが発売されたこの機会に、改めて振り返りたいと思います。

※この記事では『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のストーリーについての記述を含みます。

 2022年3月、エヴァンゲリオン公式Twitterアカウントが、「シンエヴァ1周年記念特番」に合わせて「庵野さんからお返事」と題した企画を実施。「マリは奥さんの安野モヨコさんがモデルというのは本当?」という質問に対し、庵野監督は「マリのモデルが妻だと解釈した文章や動画等を散見しますが、それは一部の人の解釈・憶測にすぎません」とキッパリ否定しました。

 続けて「マリの人物像(アスカ他もですが)は鶴巻監督の手によるところが大きく、制作時の事実とは違います」「キャラクターやストーリーの解釈は観客の自由な楽しみですし、本作にもファンのフリーな知的な遊び場としての余地を持たせています」と回答。最後に「しかし偏った憶測でスタッフや家族を貶められるのはあまりに哀しいことなので、この点についてはハッキリと否定しておきます」と締めています。

 そもそもなぜマリについての説が広まってしまったのでしょうか。理由は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』におけるマリのセリフや役回りが、庵野監督にとっての安野モヨコ先生に似ている点があると言われていることです。

 シンエヴァではさまざまな葛藤に悩みながら進んでいくシンジを、最後に迎えにいくのがマリでした。シンジを最後に助けにいくマリという構図が、庵野監督と安野モヨコ先生の関係性に似ていることから、「マリ=安野モヨコ説」が囁かれるようになったと考えられます。

 庵野監督と安野モヨコ先生の関係性については、NHKで放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも多く語られています。作品制作のなかで精神的に病んでしまう庵野監督を安野モヨコ先生が支えている様子や、安野モヨコ先生の言動が偶然マリと重なって見えたことも、うわさの一因であるように考えられます。

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