2004/08/12/木曜
この日は、劇場版『Zガンダム』という仕事をやってきて最悪の日になりました。自分でも確かに
安彦キャラを消化出来ず、殆どのカットが“生きた絵”という部分にまで至らずに失敗してしまって
いるのは認めます。しかしながら、自分のスタイルまで否定されてしまう結果になるとは思っても
居ませんでしたね。
いや、そう言う結果になるかも知れないと危惧していたので、企画当初に「自分が本当にやって
いいのか?」と何度となくお尋ねしていたのに……。蓋を開けてみれば予想通り……本当に予想通り。
苦笑するしかない。全否定ですもん。部分的に失敗しているとかそんな話じゃない。描き方そのもの
を全否定ですよ。

そりゃ無いですよ!俺は、どうしてもって頼まれたから、辛かったけど渋々やっていたんですよ。限度
ってモンがあります、失礼にもね。絵が気持ち悪いとか、表情が生きてないとか、そんな批判は甘んじ
て受けますよ。俺は一言だって安彦さんの絵が描けるだなんて言ってないし、描きたいとも言ってません
からね。いい加減気が付いて欲しいですね。
何もかもが企画通りに進んでなくて、此処に来て人選すらミスだったと言う事になる。これは、俺等頼
まれアニメーターの所為では断じて無いですよ!まるで、俺個人の認識不足や勉強不足の所為で今の悪
い結果になっているような扱いですが……違いますよ。

もう正直、疲れました……。良いところがあったと言われれば救われていたかも知れませんけど。モチ
ベーションはゼロです。見返してやるぞって気も勿論無いです。まあ、そうは言っても第1部に関しては
最後まで責任をもってやります。良くない絵は良くない。その通りですしね。
でも、描き方が違うという話は別。まるで違う次元の話です。しかし、そう考えると無駄な一年だった。
いや、色んな意味で勉強にはなったので無駄ではないか。ギャラもスタジオ拘束費しか貰ってないけど、
ダメだったんだからそれでも良いし。可哀相なのはZファンのみんなかな。申し訳ないが絵には期待しな
いでください。本当にすみません。