0083番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です (ワッチョイ 510d-JIpj)
2023/03/17(金) 21:41:59.61ID:lF+7uzOy0トルストイ「真の生命とはいかなるものか」
「ある時、私の兄が死んだ。その肉体は消え去り、もう二度と、
かつての姿を見せることは無いだろう。しかし、その別れが
全てを奪い去ったかと言えばそうではない。私の心の中には
彼と共に過ごした思い出が残ったのだ。その記憶は生前よりも
死後の方がより輝きを増し、以前より一層強く私に働き掛けている。
それほど兄との関係性を感じ、力を受け取っていながら、死んだ
兄はもう生命を持たないと一体誰が言えるのだろう。このように
肉体は滅んでも生命と世界との関係は決して途切れることはなく、
人の心に作用し続けるのである。そしてその力の強さは愛の
強さの度合いに応じて増していくのだ。その証拠にキリストを
見てみるが良い。彼は何千年も前に死去し生存期間も短かった。
にもかかわらず、その理性と愛の力によって築き上げた
世界との関係性は決して途切れてはいない。それどころか、
未だに途方もない人間達に影響を及ぼし続けているのである。
なぜキリストは「私は死んでも生きる」と語ったのだろうか。
それは彼が決して断ち切られることのない真の生命に
踏み込んでいたからなのだ。善良な老人であれ、青年であれ、
女性であれ、どんな人であれ、自分だけの幸福を手放し、
他の存在の幸福の為に生きるならば、その人は既に
世界に対する新しい関係に踏み込んでおり、その結果、
死は存在しなくなる。こういった世界との関係性を築くことこそ
あらゆる人の生命の仕事であり、それを確立できた人間だけが
未来の生命を信じることができるのである。」