ブラジル、オーストラリア、カナダ、アメリカなどでは、中国を巨大な成長市場と信じて鉱業や農業の分野で生産規模を拡大してきた。これらの業界のもくろみも外れる。

だました中国が悪いとは言える。ただし長期プランを策定する際に中国の公式統計に頼ってきた企業側も、まあ自業自得だろう。

それは各国政府の罪でもあるかもしれない。改ざん・捏造といった、知らないわけではない中国の流儀に目をつぶっていたのは軽率だった。

習近平は最近、中国の人口危機に取り組むことを約束した。だが元紅衛兵ゆえに、かつての一人っ子政策より過激な政策に傾くかもしれない。今度は逆方向、つまり強制妊娠という方向へだ。

そんな発想は狂気の沙汰としか思えないが、世界では現に(毛沢東時代の中国と緊密な関係にあった)カンボジアのポル・ポト政権とルーマニアのチャウシェスク政権がそれを実行に移している。

参考となるのは1966年にルーマニアで制定された政令770号だろう。女性の月経を厳しく監視し、妊娠を中絶した者に厳罰を科した。望まない妊娠が増え、親に捨てられた子供たちで満杯の孤児院がいくつも出現している。

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