「国会ファースト」で憲法課題 首相帰国後も連日審議

2023/3/24 18:20

参院予算委員会で首相や閣僚の国会への出席義務を定めた憲法63条の課題が浮き彫りとなっている。63条は首相らが答弁を求められた場合、国会に「出席しなければならない」と定めるが、この規定のため、岸田文雄首相はウクライナ訪問を終えて23日早朝に帰国した直後から連日国会に出席し、答弁に追われている。過度な「国会ファースト」は首相らの消耗を招き、結果的に国益を損なう結果につながりかねない。

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首相は19日深夜、インドに向けて日本を出発し、インドのモディ首相と会談後、ポーランド経由で21日にウクライナ入りした。22日にポーランドに引き返して23日午前6時すぎに帰国し、首相出席の予算委の質疑が始まったのは同日午後1時で、休む間もなく答弁準備に追われた。政府関係者は「非人道的だ。国会側は対応できると思っているのかもしれないが、首相の体調が心配だ」と話す。

日本の首相の国会出席日数が海外首脳に比べて突出していることは過去にも指摘されてきた。その際、国会側が根拠とするのが憲法63条だ。首相以外の閣僚でも林芳正外相が今月初旬、20カ国・地域(G20)外相会合への出席を断念し、G20議長国で、日本が重視するインドとの連携を確認する機会を失ったのは記憶に新しい。

平成11年に国会審議活性化法が成立し、制度上は副大臣が閣僚に代わって答弁することが可能だ。首相や閣僚を過度に国会に拘束することが本当に国益に沿うのか。すみやかな憲法改正や国会改革の議論が求められる。(永原慎吾)

https://www.sankei.com/article/20230324-IAVBFH77IJOWHEM5QF6SKXG7ZM/