きっかけは小学6年の春休み。中学の合格祝いに与えたパソコンだった。
埼玉県の奥村幸恵(45)=仮名=の長男は、わずか1年で戦闘系のオンラインゲームにのめり込んだ。

毎晩9時。自宅のWi—Fiが強制的に切れ、ゲームができなくなると、
長男は「あと30分延長して」と求めてくる。断る夫と口論になり、やがて暴れるようになった。

2階からいすを投げ落とす。居間のテレビ、台所のクッキングヒーターと、手近の物をたたき壊す…。
幸恵は髪をつかまれ、足蹴にされた。あざが絶えず、遺書さえ書いた。

「警察を呼んでくれ」。ある夜、夫が長男を押さえながら叫んだ。
幸恵は震えながら110番した。

ゲームをやめられない「ゲーム障害(ゲーム行動症)」は、2019年に世界保健機関(WHO)が国際的な疾病リストに加え、
精神疾患と認められた。主な症状は不登校、暴言暴力、ゲームへの高額な課金だ。
全国有数の治療拠点である久里浜医療センター(神奈川県)では、
ネット依存外来の患者は年間約2500人で、多くがゲーム障害。10〜20代の男性が中心だが、低年齢化が進む。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/240019