24日の公開シンポジウムでは、アメリカやドイツ、インド、ブラジルなど10か国のシンクタンクから国際政治などの専門家が出席し、ロシアによるウクライナ侵攻をどう終結させるかや、民主主義と権威主義の対立とも指摘される国際社会の分断をテーマに議論が行われました。

この中で、アメリカの外交問題評議会のジェームス・リンゼイ氏が「軍事侵攻の平和的な決着といっても、その中身が極めて重要だ。侵略をしたロシアに利益をもたらすような内容になってはならない。外交の機は熟していない」と述べ、ロシアを軍事的な敗北に追い込んで停戦すべきで、現時点で外交的な解決は困難だという見方を示しました。

一方、インドのオブザーバー研究財団のサンジョイ・ジョッシ理事長は「エネルギーも食料も、あらゆるものが戦争の道具に使われ、ウクライナ以外の国々も影響を受けている。交渉のときではないというが、ではいつが交渉のときなのか。仲介のための第三者が必要だ」と強調し、ウクライナ侵攻に端を発するインフレで、発展途上国で暮らす人々の生活にも大きな影響が出るなか、停戦に向けた外交努力も必要だと訴えました。

シンポジウムの最後には、ウクライナへの軍事的、人道的支援の継続や、資源価格の高騰に苦しむ途上国への支援強化などを提言する、「共同声明」がまとめられ、G7=主要7か国の議長国をつとめる日本政府に向けて示されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230325/k10014019081000.html